この記事は、SORACOM Advent Calendar 2020 12月5日の記事です。
先月(11月7日)、SORACOM UG ビギナーズというイベントが開催され、私も主催(というか講師)として参加しました。
イベントの中身はSORACOMさんの記事が詳しいです。
今回は、当日お伝え出来なかったことを含めて、少しフォローアップをしたいと思います。
京セラさんが製造している「GPSマルチユニット」にSORACOMサービスとの接続設定が済んだ状態で販売されているものが、「GPSマルチユニット SORACOM Edition」です。
京セラさんが販売しているものとは性能面では基本的に同じですが、SORACOM Editionではモデムモードが使えません。個人的にはモデムモードを試してみたかったのですが、購入後に知りました。
スマートフォンでGoogle Mapを開くとピンポイントで自分の位置を確認出来るので、「GPSの精度はものすごく高い」と思われてしまうのですが、実際にはそんなことはありません。
スマートフォンはWi-Fi情報など複数の情報を重ね合わせて位置を判定しているため精度が非常に高いのですが、IoTデバイスに搭載されたGPSにはそんな補正機能はありません。(地下にいるのに妙に精度が高い位置情報を取れるのはそのため)
GPSは一般的には1m単位で誤差が発生すると言われています。また、デバイスの位置によっては数メートル単位でずれます。高い精度で位置情報を取得ための要件には、ざっくり言うと「空を仰げること」があり、空を仰げない地下や森・林・樹海では正確な値を取ることは出来ません。「富士樹海ではGPSがおかしくなる」と言われるのはそのためです。
GPSは仕様上、地球上で「空を仰ぐ」と上空のGPS衛星を3つ補足出来ることが保障されており、3つの衛星を使うことで三角測量を行うことが出来るため、測量計算を行うことで位置を特定できます。また、衛星との距離は「電波到達時間(GPS衛星→受信側) × 電波速度(光速度) = GPS衛星からの距離」で計算出来ます。
ちなみに今回のイベントのため、北海道神宮の周りをGPSマルチユニットを搭載した自転車で走ってみたのですが、「空を仰げる」という条件を概ねクリア(街路樹がある程度で、問題無い)したので高い精度で位置情報を取れました。道に沿って中心点が取れています。
もっと詳しくGPSについて知りたい方は、こちらの文献がわかりやすいので読んでみてください
人によっては、Nature RemoやSwitchBotなど色んなセンター付きリモコンを搭載している人がいると思いますし、私はそういう人間です。
実は各センサーごとに、湿度や温度にズレがあります。湿度で言うと数%程度ズレがあります。
「もしかして不良品?」とか言われるのですが、これは仕様です。計測器は一般的に±3%程度の誤差が認められているからです。つまり、最大6%のズレが発生する場合があるということがあります。
なので、受信後に係数を足したり引いたりすることでそれっぽい数字を作っているケースがあります。
いかがでしたでしょうか?時間の関係上、当日お話出来なかったことは以上です。
GPSの仕組みは非常に奥が深く、三角測量や相対性理論も登場する分野なので、ぜひ調べてみてください。